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【岸大河インタビュー】eスポーツの魅力を言葉で伝えるゲームキャスターの仕事とは?

世界の競技人口は1億人以上と言われ、さまざまなメディアで注目を集めている「e(エレクトロニック)スポーツ」。ゲームをプレイすることでお金を稼ぐプロゲーマーの方もいらっしゃいますが、注目すべきはプロゲーマーだけではありません!eスポーツ界には「ゲームキャスター」という職業があるのもご存知でしょうか?
今回は「ゲームキャスター」として活躍されている岸さんにお話を伺ってきました。

ゲームとは何が違う?「e-Sports(eスポーツ)」

最近よく耳にするようになった「eスポーツ」ですが、そもそもゲームとは何が違うのでしょうか?

違うというか、ゲームの中に「eスポーツ」というものが含まれているというイメージです。ゲーム機やパソコンなど、電子的なものでプレイするゲームの競技シーンというイメージなので、結局ゲームがベースになるんですよ。だから、ゲームがなければeスポーツというもの自体が存在しない、という認識ですね。

 

職業「ゲームキャスター」とは?

岸さんがされている「ゲームキャスター」とはどんなお仕事なのでしょうか?

ゲームリリース発表会の司会や、ゲーム番組のMCや解説、それからeスポーツの大会の実況中継、ステージMCですね。あとは海外ではよくあるスタイルなんですが、アナリストデスク(試合の合間にその試合の詳しい解説をする)の司会進行もやっています。たまに司会兼ゲームプレイもお願いされますね。
基本的にはこういった仕事がメインですが、最近はラジオや動画の収録もあります。

テレビ出演も多いようですね。

増えていますね。今日も日テレの「eGG(エッグ)」というDAIGOさんと生駒里奈さんの番組に出演してきました。
あとはYouTubeとか、他の媒体にもいろいろな番組があって、「OPENREC(オープンレック)」、「Twitch(ツイッチ)」、「Periscope(ペリスコープ)」など、同時配信というケースも多いですね。

素朴な疑問なんですが、ゲームキャスターの方って大体のゲーム把握されているんですか?

人それぞれ違いますが、私は大体把握しています。一通り自分でも試しますし、このゲームのロジックはこうなっているというのをいろんな人と話す中で理解していって、どのゲームでもほとんど間違いないだろうなというところまではいけています。

すごいですね!現在はゲームキャスター1本ということでしょうか?

そうですね、ゲームキャスター1本です。ゲームに関わるライティングやコンサル的なこともやったり、あとはLogicool(ロジクール)のブランドアンバサダーやOMEN by HP(オーメン)のエグゼクティブアドバイザーをやらせていただいています。

幅広くお仕事されていますね。

 

ゲームキャスターって儲かるの?

すごく下世話な質問になってしまうんですが、プロゲーマーとキャスターだとどちらの方が収入があるのでしょうか?

それは人によると思います。でも、仕事量でいったらキャスターの方が多いと思います。というのも、実況の現場が多い分、仕事量は多くなるからです。ただ、プロゲーマーの方がファイトマネーが出たり、スポンサーからの料金があったりしますね。あとは月給制でやっているチームもあります。
現場だけで言えば僕らキャスターの方が多いけれど、全体をピラミッドにして見ると僕らの層は小さいです。ゲーマーの方が、上のほうに行けば行くほど間違いなく収入は増えると思います。もらえている人はある程度もらえていると思いますし、もらえていない方もちょっと苦しんでバイトもやったりとか。会社員と兼業されている方も中にはいらっしゃいますね。

今はお忙しいんですか?

案件が一気に降ってくるときは、忙しいですね。世界大会のシーズンだと、朝はイベントで夜から生配信。深夜から朝までとか、明け方4時からとか。ワールドカップやチャンピオンズリーグと一緒ですね。向こうのピークタイムにゲームの配信をするので、そこでの日本語中継があったりして、週4~5で現場かな。

 

ゲームキャスターになったきっかけは?

もともとは、岸さんご自身がゲーマーだったとお聞きしています。
ゲームキャスターになるまでにはどんな経緯があったんですか?

小さい頃からサッカーをやっていて、プロのサッカー選手を目指していました。クラブチームにも所属していたんですよ。でも中学が進学校で学業とサッカーの両立ができなくなってしまい、自暴自棄になった末、どちらもやめちゃったんです。学校へはほとんど行かなくなりましたね。

そんなことがあったんですね。
なぜドロップアウトしたかというのは、お聞きしても大丈夫ですか?

とにかく毎日毎日サッカーをやって、学校も1時間半ぐらいかけて通わなきゃいけないところで、夜11時とかに帰ってきて朝6時起きみたいな日々が続いていて、かなりハードでした。
学業についても、小中高大一貫の学校で、結構レベルが高かったんですよ。

それはキツイですね。

体力的に疲れちゃった上、思春期において精神的にもやられちゃって。もう一気に人生のどん底みたいなことを味わいました。
そんなときに出会ったのがパソコンのオンラインゲーム。どんどんハマっていって、大会にも出るようになりました。初めて出たのはちょうど10年前の2008年東京ゲームショウ。そこで優勝したのがゲーマーとしての始まりですね。

そこで優勝されるとはすごいですね!
でも、たとえすごくゲームが上手だとしても、それで食べていこうとは思えない気がします…

実は、僕の中ではそこまでゲームが上手だとは思っていないんですよ。最初は本当に下手で、そこからいろいろ学びました。サッカーをやっていたときも教えられるのは好きだったし、いろいろアドバイスがもらえるのも好きだったので、ゲームに関してもアドバイスしてくれる人がいるのはありがたかったです。

教えてくれた方はどんな方だったんですか?

ゲーム界でめっちゃうまい人がいたんですよ!当時は今のゲームみたいにフレンド機能とかなくて、いくつもルームが立てられて、そこにみんながポンポン入ってくるような形でした。初めてうまい人に出会った時に、「この人どこにいるんだ?」って毎回そのルームに入って探してたんですよ、ストーカーみたいに(笑)それで、その人のいるチームに入って、後ろから付いていったの。この人さえ追いかけていけば、このチームはまず勝てると。かつ自分はその人の動き方を見習えるし、「FPS」とていうシューティングゲームのジャンルなので、その人が行くルートはこういうふうに進んでいけばうまくいけるという感じでした。

向こうも「ずっと付いてくる人がいる!?」という認識はあったでしょうね(笑)

僕のことは後からいろいろ知ったらしいです。いざそのギルドとかクラン、チームが実装された時に、その人のチームに申請して入らせてもらいました。そこでいろいろと教えてもらうことができましたね。

では、キャスターになられたきっかけは何だったのでしょう?

2013年まではプレイヤーとして続けていましたが、2010年か2011年頃に実況も始めました。理由としては、僕が優勝した2008年の東京ゲームショウで実況していた人が、選手も兼任していたからです。その方が選手として出るときに実況がいなかったので「じゃあ誰やる?」となり、僕に実況の話が来ました。それがゲームキャスターのキャリアをスタートしたきっかけです。

選手とキャスターの両方をやってみてどうでしたか?

選手とキャスターのバランスについてはいろいろ考えましたね。そこでビジネスとして続けられると思ったのは選手よりキャスターの方でした。そのためにもまずはとにかく選手として実績を積む時代だと思ったんです。まずは選手として実績を積んで、その経験を生かしてキャスターになれば、ある程度のバリューと信頼感、あとはゲームへの知識部分を補完できるなと思いました。

まずは選手でキャリアを積んだということですね。その頃には、ゲームで食べていこうと決めいてたんですか?

はい、割と決めてましたね。最初の頃は、プロゲーマーになればいいとか、ゲームで割と楽に稼げるんじゃないかみたいなことを、あくまで18歳の想像だけでやってたんですよ。今だとバカだなと思うんですが、そんな簡単にはいかないと気づいたのは、その1年後ぐらいでしたね。

 

病気になったのがターニングポイント

ゲームキャスターを続けていく中で、ターニングポイントはありましたか?

ターニングポイントは去年の8月に結核になったことですかね。
夜ゲーム中に血を吐いて、これはヤバいと。親に連絡したら病院に行った方がいいと言われて、検査した結果、即入院。国の問題で隔離されるんですよね。僕は運が良く1ヶ月で済みましたが、窓も開けられない病棟に大体2ヶ月です。

その間お仕事はお休みされて?

お休みですね。入院するときも前日にイベントをキャンセルすることになったんですが、「大丈夫です」と。本当なら、他に実況できる人もいないしどうするんだ?という話になるんでしょうが、企業の方は受け入れてくれました。すごく愛されてるなと感じましたし、キャスターも続けなきゃいけないなと思いましたね。これが1つのターニングポイントです。

 

憧れの職業になりつつあるゲームキャスター

岸さんにとって、ゲームキャスターの魅力とは何ですか?

もともとゲーマーだったというのもあって、僕の時代になかったゲームを実況できたり、携わることができたりするのが一番の魅力ですね。あとは、どんどん優秀な選手が出てきてゲームのレベル自体も上がっているし、技術も含めていろんなパターンが生まれてきたことで、ゲームがワンパターンではなくなったんですよね。

実況というのは、あくまで一流のプレイに対して、ある程度の味付けをして視聴者に提供するというイメージ。視聴者をどれだけ引き込めたか実感できるときは本当に楽しいなと思います。特にオフラインのイベントで実況するときは、その会場で選手がプレイしてお客さんも声が出るし、やっぱりすごく楽しいですね。僕らも声を出せる雰囲気にするし、生の試合だとより熱が入りますね。

ゲームキャスターをしていて辛いことは?

もちろん辛いこともあります。自分の好きなゲームだけをやれるわけではないですし、5タイトル分の知識を1ヶ月で覚えなければならないときは大変です。5タイトルをそのまま進行するんじゃなくて、他のタイトルも掛け持ちした上での5タイトル。その5タイトルの記憶は一時的なもので、この5タイトルの案件が終えれば、それ以後この5タイトルには触れられないというものなんです。たった一度きりの5タイトルを1ヶ月で覚えるというのは辛いですね。

プロゲーマーやゲームキャスターになりたいという方も増えているようですが。

そうですね。将来はプロのゲーマーになりたいとか、ゲーム系のYouTuberになりたいとか。
最近ではプロゲーマーの専門学校もあって、その中にキャスター専攻というのもあるみたいです。どんなことを教えているのかまでは分かりませんが、そういうのが増えていることは実感しています。

プロゲーマーやゲームキャスターになることはおすすめしますか?

たしかに現場数は増えているとはいえ、やっぱり今までの経験者に勝る勢いで目指さないと、本当に苦しい世界です。どの業界もそうですよね。十分に稼げるようになることを目指して頑張っている方もまだまだ多くいらっしゃいます。
僕もそうでしたが、単純にゲームが好きで、ゲームで稼げたらいいなという考えなんだと思います。でも、いざやってみたら辛い、というのが現実。ただゲーム好きだからプロゲーマーになろうというよりは、プロゲーマーになってこうしたいという、その先まで見ていないと続かないですね。

なるほど。大変勉強になりました。ゲームキャスターも奥が深いですね。

そうですね。不思議な仕事かもしれません。

 

eスポーツ界を牽引するゲームキャスターに注目!

今話題の「e-Sports(eスポーツ)」。ゲームがオリンピック種目になるというニュースまで出ているほどです。どんなゲームにも競う要素はあり、それを実況するのが「ゲームキャスター」です。今回お話を伺った岸さんは、まさに「ゲームキャスターといえばこの人!」という人物。まだゲーム界が黎明期だった頃からキャリアをスタートされています。
プロゲーマーの一流のプレイを言葉で味付けするのがゲームキャスター。ゲームを良く見せたいという熱い想いで表現しているとのこと。
さらに人気が高まるeスポーツ界を盛り上げるゲームキャスターの実況にも注目してみてはいかがでしょうか。

取材/撮影/執筆:delight編集部

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Asuka

Asuka

delight MEDIA編集部ディレクター・ライター。 音楽、映画、ドラマ、漫画などエンタメが大好き!ワクワクする次世代カルチャーを広めるべく、毎日の情報収集は欠かしません。